濾過についてのお知らせ


当サイトは、以下、お話する密閉式外部フィルターを使用したオルタナティブシステムについて詳しくご紹介させて頂いている為、外部フィルターに対する使い方について、まず最初に注意しておいた方が良いのかも知れません。

外部フィルターは、どちらかと言うと一般的に小型の魚向きのフィルターであって大型の魚向きのフィルターではありません。
その理由は、その構造上閉鎖的な密閉した空間になっており、濾過材の容量も限られているからです。

また、飼育者のメンテナンスに対する考え方、その実際のやり方によってもかなり左右されます。
飼育上手な人が10人いれば、その対処の仕方もそれぞれ違って来ます。
例えば、毎日マメにやる人も居れば、放ったらかしにする人も居る様に、万人向けのシステム・そのやり方と言うものが存在しないのでは無いかと思う程です。

ですから、ある程度、自分に合ったやり方が一番良いのではないかと思います。

当サイトで一貫しているのは、魚は出来るだけ少数飼育で・・・・・・・と言う事です。
例えば、90センチ規格水槽であれば、ヤッコが一匹と言う位が無難なのです。それ以上になりますと、色々な面で難しくなってきます。
私もかっては魚を沢山飼育して乱舞と言うのを夢見てやっていた時期がありました。
しかし、魚が増えれば増えるほど病気や怪我も多発すると言う事が分って来ました。加えて、水質の維持と言う問題もありました。
そして、水槽を置く場所は部屋の中?それとも外で?と言う条件でも変わって来ます。
海水では、海草・海藻を飼育するとリン酸塩、硝酸塩を吸収しますが、溶けたら飼育水が黄色く染まって目も当てられません。

そう言った成功や失敗をもとに、現在のオルタナティブシステムが出来たのです。

今までの外部フィルターはポンプの内蔵しているものが主流ですが、最近はフィルターからポンプを分離したセパレート設計の外部フィルターも存在しているようです。
現在のオルタナティブシステムでは、ポンプの内蔵している外部フィルターのみ使用している為、フィルターからポンプを分離したセパレート設計の外部フィルターに対するサポートはありません。

よって、当サイトではポンプの内蔵している外部フィルターでお話させて頂いております。
オルタナティブシステムの濾過に使用する外部フィルターは、ウールを一番上に装備していますのでこれは必ず守って下さい。
これは、好気濾過から嫌気濾過に移行する為に必要な事です。
当然、リング状の濾過材は使用しません。(リング状濾過材は砕いてお使い下さい。)
新しくセットした時点では、流量がありますので有機物をどんどん取り込みます。
そして、ウールが詰まれば詰まるほど流量が低下していき有機物を取り込まなくなりますので、流量が低下していくほど溶存酸素減少に伴い嫌気性濾過になり、取り込まれた有機物は嫌気性濾過に消費されます。
ウールが詰まり流量がストップした時点で外部フィルターを開封しますと、有機物が全く見当たらず濾過材は真っ白、この状態では崩壊とみなしますが、水槽に悪影響を与える様な状態にはなりません。

では、外部フィルターに有機物を取り込まないのであれば、ゴミはどうするか?と言う事ですが、その為にサンプの設置か?物理濾過専用のフィルターの設置なのです。
もちろん、プロティンスキマーもつけてください。無いよりはあった方が良い様です。

サンプは出来るだけ深いものが良いでしょう。沈殿したデトリタスを舞わない為であり、仕切りもあった方が良く、良くベルリンシステムのサンプにも使用されています。
沈殿したデトリタスは定期的に吸い取ります。
もし、これらを好気濾過するとなれば容量の大きい好気濾過槽が必要になりますが、硝酸塩・リン酸塩を多く生産してしまいます。
ですから、過剰のデトリタスは物理濾過によって定期的に取り除くか?サンプに沈殿させて定期的に吸い取る方が良い事になります。
これは、硝酸塩・リン酸塩の発生を抑える為の対策なのです。
その為、当サイトでは魚の少数飼育を提唱させて頂いております。
これは、自然界の海ではリン含有値が0.02mgであると言う根拠によるものです。

この様にすれば、大きな濾過槽が要らない為、外部フィルターで対応出来るという事なのです。
無論、その事は珊瑚飼育にも好条件なのです。
濾過槽を全部取り外すと、高性能プロティンスキマーとライブロックが必要になってきます。
そうなれぱ、枯れた海水になると共に騒音と電気代に悩まされます。
それを抑える為、外部フィルター4台設置する訳ですが、酸化濾過は1台、酸化還元濾過が2台、還元濾過が1台と言う構成になっていく為、容量の大きいフィルターが要らない訳です。
ミドリイシ飼育となれば、リン含有値が0.02mgである貧栄養状態の水質が必要になりますから出来るだけ餌を投与しない工夫が必要になります。
すべて、当たり前のことなのです。

魚を鑑賞するのであれば、水草のある水槽、珊瑚のある水槽、そう言った自然の状態に近い環境での方がよりリラックス出来るのではないでしょうか?



オルタナティブシステムとは、別名フィルターローテーションですので好気濾過から自然と嫌気濾過に移行していく外部フィルターを使用する事によりフィルターをローテーションする方式です。
ですから、外部のフィルターの機種によってはその内部構造により、フィルターローテーションに向き、不向きがある様です。

その内部構造が、分割されているコンテナが入っている場合はリーク(漏れ)によって、コンテナとコンテナとの間には隙間が出来、フィルター内の水流が詰まらず嫌気状態に移行しにくい様です。

では、オルタナティブシステムに適した外部フィルターとは、下図の様にリーク(漏れ)しない構造を有りしている機種になりますが、
例えば エーハイムクラシック2213などの一体型のバスケット、もしくはエーハイムクラシック2215の様にバスケットが無いものがもっとも好ましい。
エーハイム500(2213810 & 2213820)なるものが販売されて、クラシック2213の改良型です。
http://www.eheim.jp/pdf/eheim500_guidance.pdf

コンテナが分割型ですと、その隙間から水流が漏れ完全な嫌気濾過に移行するのが難しくなります。
最悪の場合、流量がある状態で濾過槽内に不純物が堆積しやすく
問題が起きる事があります。
その為、こう言った構造では定期的にメンテナンスする必要があり、この事自体が欠点でもありますが、同時に長所でもあります。

水槽のリン含有値が高いと、必ずライブロックも含めて濾過材にはリンが吸着されますので、そのまま放っておくと今度はリンの放出もあり得ますのでいずれはリンの含まない、あるいは低い新しいものとの交換が必要になります。

オーバーフローの濾過槽では濾過材の交換には適しておりませんが、外部フィルターでは濾過材の交換が容易になりますので特筆すべき長所なのです。

    

コンテナ一体型のもの、コンテナ無しの場合はリーク(漏れ)しませんので、フィルター内部が嫌気的濾過に移行する事が出来ます。
その為、水流がストップするまで放って置くことが出来ます。


ウールが詰まれば詰まるほど流量が低下していき有機物を取り込めなくなります。
流量が低下していくほど溶存酸素減少に伴い嫌気性濾過になり、取り込まれた有機物は嫌気性濾過に消費され水槽に悪影響を与える様な状態にはなりません。

嫌気濾過移行時の流量の低下に伴い、別途有機物を取り込むサンプの設置、もしくは物理濾過専用のフィルターの設置をお勧め致します。


追記

このシステムは大変誤解されやすく、より深い洞察力とその理解がなければ使いこなせない様です。
従って、無理にこのシステムを導入する必要はありません。
そうしなくても飼育は可能なのです。
強いて言えば、このシステムの利点は何かと言いますと結論から先に言えばトラブルによる水槽崩壊に対するリスク分散です。

何かしらのトラブルによるアンモニア・亜硝酸発生などの異変が起きた場合、それらに備え対処する閉鎖系水槽の安全装置のようなものです。
これによって、素早く無毒化する事が肝要になります。
いわば、保険です。
保険と言うものは万一に備えての危機管理対処法ですが、万一に備えての事ですからよほどの事が無い限り、通常ではあまり問題が起きません。
しかし、この万一に備えての保険をかけておくのとおかないのとでは、後で保険をかけなかった場合、万一の問題に遭遇した時には経済的に立ち直れないほどの壊滅状態になりかねません。
それと同じ事です。
ですから、普段はフィルター・ローテーションが無くてもシンプルな方法でいけますが、もし万一の事が起きれば後が大変です。

例えば、
2008/10/25 (Sat)
に住宅事情で上段120センチと下段90センチ水槽の一体システムからサンプなしのノンフィルターシステムとしての90センチ水槽のみへのダウングレードを行い、その際にヒーターのセンサーが外れている事に気がつかず、朝起きると水槽の中が真っ白、水温が35℃に達しており、バブルディスクと海綿以外の珊瑚が全部溶け、ミドリイシは全滅、魚はカクレクマノミだけがかろうじて生きており、シマヤッコは死亡するなど、水槽の崩壊を経験しました。
その後の処置としては、外部フィルターを仕舞ってしまった為、再び外部フィルターを引っ張り出してクーラーにつなぎました。
活性炭は手元に無い為、お店へ行っては出来るだけ多くの活性炭を購入し、水温を下げた所、今度は新しい人口海水を造り全換水し活性炭を投与、それでもまだ濁りが取れず、その時にノンフィルターシステムのいざと言う時の問題が起きた場面でのその弱点を垣間見る思いを致すと共に、生物濾過槽が無い場合の処置の大変さが分りました。
まして、珊瑚水槽であれば珊瑚が多いほどその溶け方が半端ではありません。知らずに放っておくと液状化して水槽内が白濁します。
生物濾過槽があれば、無いよりは早く解消するのですが、スキマー・活性炭の投与と換水のみではなかなか濁りは取れず、元に戻るのに数日間を要しました。
この時にいざという時の為の保険としての生物濾過槽の設置の重要性を再認識いたしました。


2008/10/25 (Sat)以前の下段の90センチ水槽です。


2008/10/25 (Sat)にダウングレードし、その後日ヒーター事故による崩壊した後の水槽です。

この様に、水槽をシンプルにして上手く行っている時は良いのです。
しかし、ひとたび問題が起きればどう対処するのか?と言う事です。
生物濾過槽があるよりは生物濾過槽が無い方がその後の対処が大変でした。

ただ、現在フィルター・ローテーション用の外部フィルターが開発されていませんので、現状の外部フィルターでは皆さんには使い難い事が確かにある様です。
1台の外部フィルターの中に4本の濾過槽が内包していれば?そして、そのマニュアルがあれば?と思います。
ですから、将来フィルター・ローテーション用の外部フィルターが開発されれば、保険としてより使い易くなるのではないでしょうか。